2022.09.29
A24制作作品。
予告編を見てなんだこれは!となりました。
雰囲気的にビックリはさせて来なそうですが、不穏で不気味な雰囲気がプンプンに漂っていて、そういった作品を得意とするA24が、北欧の奇才を掘り出してきたとなれば、チャレンジするしかない、この言い知れぬ不気味さには。
羊飼いの夫婦、イングヴァルとマリア。
羊の世話をして、出産を手伝ってを繰り返す日々。
そんな中、二人を愕然とさせるモノが生まれる。
他の羊と違い、家に入れ、服を着せ、「アダ」という名前をつけた。
それから、夫婦とアダの“奇妙な”生活が始まるー。
これは個人的には超騙されてしまった、というか作品の世界にグイグイ引き込まれてしまった…。
生まれてきた“何か”を中心としたホラーか、その真意を明らかにするミステリーかと思いきや、そのどちらでもなくジャンル的には日常もの。
アダの正体も、序盤の時点ではどんなものなのかわからず、徐々にその奇怪な肉体を映し出していく流れ。
半獣半人といった見た目をした“何か”、それ以上に、その生物を自分達の子供として扱う夫婦の不気味さにゾッとさせられました。
さらにその二人を外から見つめるペートゥルの目。
最初こそアダを羊として扱い、観る側と同じ視点に立っていたものの、逆に飼い慣らされ、“奇妙な”生活の一部になってしまう。
これはもう参りましたわ、不気味&奇妙すぎて笑えないのに笑みがこぼれてしまう、シュール・コメディ・スリラー作品。
序盤の意味深な画、重低音が腹の底に響く不穏なBGM、設定ぶん投げエンドと、自然を相手にしているからなのか、観る側に問いかけてくるようなテーマを感じました。
その真意は計り知れないものがありますが、自然に対する尊敬の念か、子供とする存在への無償の愛か、理解不能なモノに対する畏怖の念か、観た人によって何を感じ、何を考えるのか、可能性の広がりを感じる作品。