悠

LAMB/ラムの悠のレビュー・感想・評価

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
3.5
アダちゃんや犬や猫がただただ可愛くて不気味というよりもほんわかした気持ちが勝ってしまったので、ホラーとしてよりかは半分以上はファミリー映画として楽しみました。セリフが必要最低限に抑えられていて画で語る場面が多く、説明臭さを感じさせないスマートなところが魅力的です。その様な情報の少なさに加えて民話や神話がモチーフになっているので一見難解な作品のようにも思えますが、別段そのあたりの知識がなくてもちゃんと観て考えれば理解できる内容の映画になっていると思います。
今作は特に賛否両論あるようですがプロットがかなりコンパクトで、やろうと思えば30分以内にまとめられる贅肉堪能系の映画のため、展開が目まぐるしくテンポの良いミチミチの内容を求める人には確かにあまりウケなさそうだとは思いました。本作の監督が師事していたハンガリーの巨匠タル・ベーラ(本作の製作総指揮)が、歩いている人間や踊っている人間をひたすらずっと映している様な監督なのでそこは師匠の影響が色濃く出ているのだと思います。自分はその様な「これは一体何の時間なんや?」というシーンを眺めているのが結構好きなので普通に楽しめましたし、監督には今後もこのスタイルを貫いていってもらいたいです。
悠