ふるさん

LAMB/ラムのふるさんのレビュー・感想・評価

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
3.8
クリスマスの夜に一匹の羊から“何か”が生まれた。羊飼いの夫婦は“何か”を家族として受け入れ「禁断」の生活が始まる。
アイスランドの厳しくも美しい大自然の風景の中で、羊飼いの夫婦と“何か”の奇妙で不気味な生活が描かれる。セリフは少なく説明的な場面もほぼ無く“何か”の正体も不明だが、ごく普通の家族のような生活が淡々と続いていく。この禁断の幸せはいつまで続くのか…。

この物語は、キメラ研究や動物虐待のような生命の論理的問題して捉えることも出来るし、マイノリティ差別のような問題提起と捉えることも出来る。またキリスト教と北欧神話のメタファーとして捉えることも出来る。観る人によっていろんな解釈が出来る物語だが、多様な要素を含んだ教訓的な寓話として不思議な魅力を持った作品でした。

特にノオミ・ラパスの存在感が、この奇妙な物語にリアルな感情を生み出し、観客は彼女の共犯者的な視点を体験することで、自分自身の倫理観や差別意識を映し出す合わせ鏡ような内容になっています。怖いと共に考えさせられる作品でした。必見です。🐏