21世紀になり20年。今の時代だからこそ輝く20世紀の姿。
映画『クレヨンしんちゃん』で不動の人気を放つ本作。ラストのしんちゃんが階段を全力疾走するシーンが有名です。「泣ける映画」の1本としてもよく言われる本作ですが、まぁ感動しますよ。まだ大人でもない身分である自分が現時点で感動するなら、大人になって鑑賞したら死ぬんじゃないかなんて思います。『アッパレ！戦国大合戦』とはまた違う感動が襲ってきます。
所謂本作は「現実に対して絶望した者達が未来を捨て、過去に戻る」といった懐古主義者が先導に立つ作品。登場人物の大人視点で本作を捉えると「子供時代が懐かしい」などのほのぼのとしたノスタルジー作品ではあるものの、子供視点だと恐怖そのもの。この構造がまず素晴らしい。
いくらでも語りたい部分はありますが、もう野原ひろしですよ。彼の人生そのものが本作『オトナ帝国の逆襲』であり、それを1番分かりやすく描いたのが数分間続くひろしの回想シーン。台詞無しで音楽のみのこのシーンは大人こそ号泣します。家族がいるっていいなぁと思います。
大人にとってのリアリティとアンリアリティを描いた『オトナ帝国の逆襲』。傑作です。
