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マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間の盆栽のレビュー・感想・評価

4.4
"生きる"ことを伝える為の記録


 「ウクライナ侵攻」でのマリウポリのDay1からDay20までに起きた実態を記録映像として残した本作。作中ではたった20日間の出来事を映していますが、実際は2年以上経過していることを考えるとただただ胸が痛くなります。実際、鑑賞中も悲痛な思いに苦しめられました。ただし決して目を背けてはいけないのが本作。

 突然、日常が非日常へと変貌し、当たり前のように生きていたことがいつ死ぬか分からない状況にまで陥る。救うことができなかった"命"、奇跡的に救われた"命"の双方を映像に残したことによって、より一層「生と死」の根本的な定義について考えさせられました。

 かなり生々しいシーンも多く、監督のムスチスラフ・チェルノフ氏の言葉同様、「見るに堪えない」ものですが、ウクライナで起きたリアルな惨状を目の当たりにすることができたこの映像は必要なものだと思っています。これらの映像を「フェイクニュースだ!」と発言していたロシア政府は非道な集団だとしか思えない。

 「一日でも早い平和が訪れますように。」と言葉で書くことは簡単ですが、どうすることもできないのが現実。"平和"という言葉がある限り、"戦争""暴力"の言葉は消えないのだと思ってしまいます。

 アカデミー授賞式での、「この映画が作られなければよかった」という監督の言葉が全てを物語っている。

2024.4.29 初鑑賞
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