エスカレーターを上がって太陽の塔が見えてくるファーストカットはかっこいいけど、幼少期に親からクレヨンしんちゃんの視聴が禁止されていたどころか、家で誰も下ネタを言わない家庭で育ったことも相まって常につまらない。しんのすけの下ネタを笑いに来た少年少女へ向けた、「（時間の不可逆性と人生の一回性と人生における連続的な判断の不可避性がもたらす美と残酷について）君たちもオトナになったら分かるよ」という上から目線、もとい、オトナによる反論不可能な言説（え、分からないって？じゃあ君はまだ子どもってことだね！）に腹が立つ。別にノスタルジーへの耽美とそれを経由して現在を見つめ直すこと自体はいいんだけど、ここまでそれを大袈裟にする大衆文化には不信感がある。中高生の時に強迫観念のように繰り返された「青春」の同調圧力で損なわれた創造性はどれほど。ニッポンという大きなムラ（＝共同体なき村）に共同性をもたらそうとする奇習は、「実績解除」の力学によって支えられる。キモくない共同体作りは難しいね。
