Omizu

スワンソングのOmizuのレビュー・感想・評価

スワンソング(2021年製作の映画)
4.2
これは実に素晴らしい。
東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門
実在したパッドというヘアドレッサーを怪優ウド・キアが演じている。監督もゲイであることをカミングアウトしている人物で、本作は各地のクィア系映画祭で受賞している。

悲壮感に偏りすぎず、ちゃんとコメディとして笑える。何よりいいなと思ったのが、エイズやゲイバーなど一昔前のゲイが直面していた現実を描きつつ、アプリといった現在のゲイ社会や、男性カップルで子育てすることが当たり前になりつつある(なってほしい)という未来も描いていることでしょう。

他人を許すということは、自分も許されること。人生の終幕になって彼は真の幸せを味わったし、間違いなく誰かの記憶には刻まれた。

だんだんと死化粧を依頼してきた女性との関係が浮かび上がってきたりと作劇もとても上手いし、靴やナプキンなど小道具の使い方もいい。もちろん選曲センスも間違いない。

ただディー・ディーとの決着が曖昧というか、あんまり描けていない気がしたのが残念だったかな。
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