ぶどう

笑いのカイブツのぶどうのネタバレレビュー・内容・結末

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

ここ数ヶ月で1番!とてもよかった。
とにかく岡山天音さんがいい。セリフ少ないにも関わらず仕草、目、表情でどういう感情を持ってるのか、何を言いたいのかほぼ伝わってくる。すごい俳優だ。
全編通して、岡山さん演じるツチヤの熱量がものすごい。それに呼応するかのように菅田将暉さん、仲野太賀さんもとにかくよかった。
この作品の中の、この3人をもっとずっと見ていたい気持ちに駆られた。

ツチヤの純粋すぎるお笑いへの熱量はほぼ狂気と言ってもいい。そこに言い訳や嘘やごまかしはない。バイト中も、客の質問が大喜利と錯覚するくらい頭の中はお笑いでいっぱい。取り憑かれているような岡山さんの目つきもいい。
でも世間は、ただ好きでは渡っていけない。自分より笑いのセンスがなさそうな先輩でもうまく立ち回っていかなければお笑いで食べていけない。苦い仕事もこなさなければいけない。"人間関係不得意"なツチヤはそれがうまくできない。やってみようと試みてもうまくいかない。それで、お笑いの仕事についても結局続けられない。
だけどツチヤのこういう生き方が、社会人なりたての過去から徐々に世間ズレしていき長いものに巻かれまくってる現在の自分から見て、まぶしくうらやましくもあり、序盤から何度か泣いてしまった。かっこいいとさえ思った。
ただこれは、完全にスクリーンから眺めている自分の勝手な感情で、当の本人はとても生きづらそうだし周りも大変だ。

ゼロから作り上げることを生業にするのは命懸けだな。作って評価されて、ダメだったらまた作り直し、良い場合でも暫くしてまた新しいネタを考える。お笑いの世界は、相当精神タフでないとやっていけないのでは。

終盤近くの、居酒屋でのツチヤの心の叫びと、母親へのお笑いを交えた言葉て咽び泣いてしまった。
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