ブラックユーモアホフマン

笑いのカイブツのブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)
4.1
一つのことをやり続けて遂に壁に穴(逃げ道)を開ける男の話。しかし『ショーシャンクの空に』とは違い、部屋の隣にはまた次の部屋があるだけ。結局、逃げ場なんかなかったことを知る。

そうとしか生きられない。”笑い”を選び、”笑い”に選ばれてしまったせいで、より一層キツい。たぶんもっと”芸術”に振り切った分野だったらもうちょいマシだったと思う。菅田将暉の言う通り、世間を笑わせたいのにその世間に苦しめられるという矛盾。

しかしヤカラを演じてる時の菅田将暉は絶品だ。セリフの言い方に音楽を感じる。
岡山天音もさすがだ。この役、楽しそうだな。でもやりすぎてない。ちゃんと抑えてるのがすごい。もっと狂人らしく極端に演じることもできたかもしれないけど、エクストリームにはならないように配慮してるように見えた。

前原滉さんがツチヤに本音を言われた時の表情がどういう気持ちなのか気になった。「コイツ俺がせっかくかばってやってんのにマジかよ……」なのか「コイツ空気は読めないけど言ってることは正しいわ、俺ダサいな」なのか。

【一番好きなシーン】
・ピンクとの初対面
・すべり台の上で「ラジオ」って言う時の顔
・ブルーなピンクの投げる空き缶