One of the Missing と(は)私たちの。
傑作処女短編。才能しか感じない。1968年。
おそらく短編映画で、ショットごとに連綿するごとに、画面に才能が張り付いている、画面から才気しか感じないと思えるのは、これと黒沢のパロディアス・ユニティの何作かしかない。個性的なおもしろい作家の才能ではなく、あくまでも映画史を生きる者として。
トニー・スコットは処女作のイギリスの作品から、(反戦)映画の活劇、あの拳銃とのモンタージュ。それにしてもすでに孤高なる一人の個人とシステムとの対峙のテーマが原初から立ち現れる。
同時期3年前(1965)の兄リドリー、主演トニー(トニーはあまりにも繊細すぎる青年として記録としては貴重)の、猿真似ヌーヴェルヴァーグ海へ行く短編を見れば、いかにこの兄弟が、同じ家族ではなく、はるかに弟のシネアストの才能が優れていたか証明されている。そう、価値の問題で、トニーを評価できなかった映画世界は、つねにすでに完全に正しくない。