MasahideYoshida

THE FIRST SLAM DUNKのMasahideYoshidaのレビュー・感想・評価

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
4.2
2022年公開
監督 : 井上雄彦
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一人の少年が、さまざまな思いと過去をバスケに乗せて、ある試合に死力を尽くして挑むお話。

とても、フィジカルな映像体験で、ドルビーアトモスで見れて本当に正解でした。脳より先に、体幹にくるというか。音楽も、身体表現も、その根底に敷かれたキャラクターたちの人生と、全てが映画という器に、体重として乗っかって重低に響く体験。原作のエネルギーは言わずもがなですが、ちゃんとそこに「なぜ今になって映像を作るのか」の価値を築けていて。あれだけの金字塔に、さらに上乗せをするというものすごく勇気がいるであろうことを、ただ「擦ってもう一儲け」とかではなく、やりきっている、制作チームの気迫に感服です。漫画よりもある意味、時間体験としてはよりリアルであろう、回想を抜けばほぼ試合時間通りの濃度。ドラマの体感としてまた新しいものを見せられた気がします。

息子がいる身としては、どうあれなんとかこの世の中に、自分の存在する意味を拓こうとする主人公が姿が尊くて、泣けました。これは、居場所を獲得することについての映画。