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THE FIRST SLAM DUNKのよのレビュー・感想・評価

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
4.6
何よりも、井上雄彦がまたスラムダンクを描く気になったということが嬉しかった。それがオープニングの線画から伝わってきて、泣けた。
画集や資生堂のCMや『あれから10日後』や『最後のマンガ展』の制作動画に齧りついていた学生時代を思い出した。その後Gペンすら持たない期間があったのも知っているけれど、このストロークは井上雄彦の直筆だという確信があった。

先生の絵は、努めてリアルに描こうとしてきた積み重ねを感じるというか、嘘がなくて、自然で、誠実で、描いたひとの真摯さが透けるようなところがいい。

そんな作品たちと人生の半分以上も共に生きてこられた私は、ただもうひたすらに恵まれている。井上雄彦のおかげで、私の人生はどれほどマシなものになったことか。
『リアル』の新刊は2年以上前で、『バガボンド』も高2以来ずっと待っているし、展示の類さえ途絶えているが、きっとこれからも付いていっていい。映画の仕上がりがそれを証明している。

私は死ぬまで全幅の信頼をもって、井上雄彦のファンで在り続けるだろう。
先生が私より先に亡くなるだろうという当然の事実が胸にこたえるほど、私の健康や寿命を捧げたいと本気で願うほど、やっぱり好きだ。
エンドロールと劇場を支配する「原作・脚本・監督 井上雄彦」を追いかけながら、心底そう思ったのだ。
よ