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THE FIRST SLAM DUNKのcinemageekのレビュー・感想・評価

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
4.6
THE FIRST SLAM DUNK
監督・脚本・原作/井上雄彦

説明不要ともいえるが
1990年から連載されたバスケット漫画


バスケット初心者の
自称・天才 桜木花道がバスケットマンになり、
全国大会デビューをし、覇者山王に勝利するまでを漫画で描かれた

今回 井上雄彦 本人が監督、脚本をすることで話題に
さらにストーリーなどは秘密のママ
TVアニメシリーズと声優をすべて入れ替える
という大英断となった


ネタバレも含めて

インターハイの山王戦が舞台
1回線の豊玉はなし


・オープニング
原作ファンんとしてOPから涙腺崩壊
井上雄彦タッチの原画ともいえる線画アニメーションに身震い
ここにロック系のBGMのかぶせ方は秀逸で、あのスラムダンクが始まる高揚感は最高ともいえる。


・THE FIRST SLAMDUNK のファースト
井上雄彦氏が「新しいスラムダンクとして見てほしい」とインタビューで答えている通り、
1番目ではなく、初めて という意味だろう
今回のシナリオは宮城リョータの物語
兄を海難事故で無くしたことなどの描写から、どう考えても「ピアス」の主人公と同一人物としか思えない
そこに加わる家族模様。
3人の子どもへの母親の愛情は同一であるはずだが、亡くなったものへの偏りと残された子どもの思いとのすれ違いなど、宮城リョータというキャラクターを深掘りするにはよくできていたと思う。

もしも妹がいなかったら……もっと思い展開になっていたんだろうな



・声優の交代について
個人的には、原作漫画は大好きだし、何度読み直したことか…。
一方でアニメ版への思い入れはそれほどない。
声優交代に関しては過去にいろいろ経験しているから「今さら怒ることでもない」という感想。

確かに過去アニメ版の声優を使うのが、アニメ好きからの希望であろうが、新規のキャストも十分頑張っていたし、こういった知名度の高い作品へのプレッシャーの中頑張っていたと思う


そもそも、アニメーション版の場合、原作者として声優のセレクトの権利などあるわけではなく、アニメーション監督やプロデューサー。当時の人気や実力との兼ね合いを含めてのセレクトされるものだろう


今回は、原作者・井上雄彦自身が声優をチョイスする監督という立場であるからして、声優のセレクトに文句をいうのは、ある意味「THE FIRST SLUMDANK」そのものの否定にもなるといえる
原作者の井上雄彦氏は、漫画「スラムダンク」を描いた人であって、その原作者が作ったのであって(アニメ版が全国大会直前で終了だっとはいえ)アニメ版スラムダンクの直接の延長として作ったのではない
ということを考えると、声優の変更も仕方ない…というか、井上雄彦氏の意向に沿って制作されたことを考えると
ファンであれば、その意向を汲んであげる努力はするべきではないのか?
とも思える


もっとも、声優重視でみている人のその気持もわからなくもない
この手の声優変更は昔からあった
ルパン三世 風魔一族の陰謀 
 このときの大不評もあり、声優がもとに戻った

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ
 主人公ハサウェイ・ノア
 ライバル ケネス・スレッグ
 ヒロイン ギギ・アンダルシア
 すべて過去のラジオドラマ、ゲームなどから変更

うる星やつら
ダイの大冒険
フルーツバスケット

も一部は継承された人もいるが多くが変更されている。

各自のアニメ版スラムダンクへの愛情は理解するが、原作者であり監督の意向は尊重してあげる気持ちは持ってもいいと思う


一方で、PR展開としては旧来ファンの「身勝手ともいえるが」
期待をあおり、重要な情報をださないままチケット販売というのは賛否出るキッカケにしかならなかったとはいえる。



・シナリオ展開
原作スラムダンクを何度も読んでいる立場からすれば、カットすべきところはカット。
ルール的に問題になりかねないところは修正とカット

例えば、神奈川県大会のライバルをすべて出演カットするのは、2時間という限られた映画の上映時間のなかでわかりやすさのため
と推測される。

魚住や牧を出すことで、情報過多になるのを避けるのは合ったともいえる。

最後、コートに桜木軍団や晴子が駆け下りないのも、選手、マネージャー以外は本来コートに入れないこともあるかもしれない

映画1本として「コメディ部分を中心に」切れるところは切った
この判断は原作者としても難しかったと思うし、大変だっとおもう。

それを差し引いても、山王戦をきちんと映像化して見せてくれたことはかなり満足
大満足

ただし、1本の映画作品として観た場合は
「説明が無さすぎる」
というのはある

キャラクターの背景や状況など全てにおいてなので、スラダンを知らない人からすれば全くちんぷんかんぷんになってしまうかも知れない

「原作は桜木花道が主人公とは思えないくらい」今作は説明がないのは
映画としては微妙ともいえる




・CGアニメ
今回のキャラクターの動きはCGで構成されている。
手描きアニメーションでコート上の10人+審判を描くとなるととんでもない技術と時間が必要になるであろうし、リテイクでの手間を考えるとCG化は正解と言える
だからこそ、画面内に映ったプレイヤーがそれぞれ違う動きをしたり、シュート時のディフェンス側の動き、リバウンド勝負になりそうなときのオフェンス、ディフェンスのそれぞれの違う動き。
また敵陣に攻め入るときの、センター、スモールフォワードやパワーフォワード、シューティングガード、ポイントガードがそれぞれのポジションとしの動きなどが違うことをアニメーションで描く…としたら、CGしかなかったともいえる。

さらにバスケットプレイヤーのモーフィングキャプチャーにより動きはかなりリアル。
3DCGならではのリアルとアニメーションらしさがうまく融合した作品


特に ゴールネットの揺れ動きなどはどんな3D計算ソフト使ったんだよ!って思うほど気持ち悪いほど滑らかで気持ちいい

そこに、音のこだわりが加わって臨場感は満点
バスケットボールのドリブル音
ゴールした時にボールが網を通る音
体育館内でのバッシュの音

それぞれの音のリアリティは観ていて体育館にいるかのようなサウンド効果だった


・総合評価
原作好きからすれば、カットされたエピソードや台詞もある
ただ2時間で山王戦を描ききってくれたことは大満足だし、
決着前の9.4秒からの流れは息が止まるほどの迫力
原作でセリフコマが無いことで話題になった●●話の部分の再現はすばらしく、2人のタッチのバチンという音が響き渡る演出につながるすばらしいものだった


原作ファンなら大満足
アニメ版を大好きなら不満もあるでしょう

ただ、原作をリアルタイムで読んで、コミックスを何度も読み返し
アニメ版はほぼ見ていない自分からすれば、大満足であったことは間違いありません。


https://www.youtube.com/watch?v=qdK3JnmuB-4
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