春花とおく

THE FIRST SLAM DUNKの春花とおくのネタバレレビュー・内容・結末

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

やっぱり最高だわスラダン。

自分がスポーツをやっていた時の熱量、高揚、あの快感が現前に表れていた。同様に、そこに至る苦しみも。それを支える人々の想いも。

ここからは長く、自分語りになる。

高校頃、ハンドボール部に所属していた。ハンドボール自体は世に知られても、部活動としてはマイナーと言えるだろう。当時まではサッカーをしていたのだが、病を機に転向せざるを得ない時にそのスポーツを選んだのはマイナー故に初心者が殆どだからだ。

ハンドボールはまさに、サッカー3とバスケ7を足して割ったようなスポーツだ。だからだろうか。バスケの経験は体育程度だが、スポーツとしての理解はその少し先にあるように思える。攻守が数秒の間に切り替わり続けるスピード感、肉同士がぶつかり合う闘い、陸空に渡る駆け引き。。

「スラムダンク」を最後に読んだのはまだ中学頃だったろうか。しかし今こそあの躍動感がアニメーションとして表現されていることがハッキリとわかる。

僕自身、ハンドボールを選手として行っていたのはたった一年だった。再びの病魔により、ほぼ完全に選手としての道が絶たれたからだ。

しかし、僕は卒業まで少なくとも今まで見た中唯一の男マネージャーとして部に残り、また大学でもマネージャーとして部に所属し続けることになる。

それは、例えば宮城にとっての兄、三井や赤木にとってのバスケのように、自身にはチームメイトの存在が必要だったからだ。

プレイへの憧れはあった。これはサッカーにおいても同様で、時に夢に見る程だ。しかし、自分が「賭けた」仲間が努力の果てに進んでいく、その姿を後ろから眺める事もまた素晴らしいものだった。作中殆ど出番のない「ヤス」や「シオ」、映画内では活躍の描かれない「木暮」たちが必死で応援する心中も窺える。

社会人にようやくなったこの頃になって思い返せすと、高校、大学と素晴らしい仲間に出会えたのだという実感が、本作を観てまた滲み出してくる。彼らは諦めなかった。努力を笑わなかった。最後には負けたが、悔いを残さなかった。そんな彼らといて、僕は幸せだった。

そんな、幸福ながらも一瞬で過ぎ去ってしまった青春の数ページを思い出させてくれる映画だった。また原作もそうである。

最後に、一試合(40分+‪α)の試合内容を120分で表すことの出来る映画(アニメーション)の力と面白さ、ひいては意味をより考えさせられた。
春花とおく

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