Kz氏

アステロイド・シティのKz氏のレビュー・感想・評価

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)
4.0
ウェス・アンダーソンすぎる風景がコンセプトのInstagramコミュニティがあるくらいだから、徹頭徹尾デザインの映画で、唯美主義だ。
砂漠にセットを組んだ、パステルカラーで対称的なシーンもさることながら、作品の構成自体が緻密にデザインされている。
モノクロのTVショーが、「アステロイド・シティ」という演劇の製作過程をルポルタージュしているのだが、眠ることのワークショップやら女優の逃亡やらのバックステージが、舞台で演じられている。表舞台で上演されているはずの戯曲は、イーストマンカラー(に見える)の映画になっている。

米ソ軍拡競争「STRONG AMERICA」の1950年代を、トランプの「Make America Great Again」に重ねて社会批評性を見る向きもあるけれど、頻繁に行なわれる核実験は、宇宙人が隕石を回収しに来て軍隊が慌てる風景と同じく、砂漠の彼方にキノコ雲があると面白い、と思っただけなのではなかろうか。
Kz氏

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