なんだこりゃな物語ではあるのだが、始終美しく楽しい画面を見ているだけでも満足感があるし、眠らなければ起きられないという比喩に込められた優しさがじわりと沁みた。並行して展開するレベルの異なる世界を眺めていると、目の前の現実もまた世界を形成する層の一つでしかないと思えてくる。そして、別の層を覗くことでこの層で起きた出来事をもっと理解できるような気がしてくる。想定を超えた物事との出会いは、辛い出来事を消化し前に進むひとつのきっかけを与えてくれる。そして、そんな物事に出会いたければ、眠るように能動的に、現実から離れ、別の層を覗きに行くことも必要なのだろう。例えば夜空の奥の宇宙人に夢想することもそのひとつ。
