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硫黄島からの手紙のGTのレビュー・感想・評価

硫黄島からの手紙(2006年製作の映画)
4.5
「父親たちの星条旗」を見たのでこちらも。
面白い!そして「星条旗」と同様、戦争の悲惨さがこれでもかと強調される。「星条旗」とは違い、こちらは徹底して戦場が舞台。常に生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされ、さっきまで普通に喋っていた人間が、次の瞬間には物言わぬ肉塊に成り果てる、その非情さ。上官は高圧的で横暴だし、日本特有の自己犠牲精神(アメリカ人であるイーストウッドがこれを実に見事に表現しているのは凄い)で、無意味な玉砕が行われる。そんな中でも、主人公である栗林は常に戦況を冷静に見て、極めて論理的に行動する。部下への気配りも忘れない。栗林演じる渡辺謙のかっこよさ。西中佐演じる伊原剛志もすごくイカす。地味にニノのニヒルなキャラクターも好き。
だが、確かに面白いし、戦争の悲惨さも伝わるのだが、「星条旗」と比べてしまうとその内容の深みという点ではどうしても劣ってしまう。非常によくできた映画だが、やはり数ある戦争映画の一つ、という感じがどうしても付きまとう感じ。「星条旗」の、海岸で子供のように戯れる兵士たちのラストカットがあまりに良すぎて、それを超えることはできなかった。
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