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硫黄島からの手紙のshunsukehのネタバレレビュー・内容・結末

硫黄島からの手紙(2006年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

戦争そのものが人間性を踏みにじるものだが、この映画では、その有様はもちろん、日本が戦争に向い、その戦争を支えるために組立てられ、人々が従っていた人間性の強烈な抑圧と無視が描かれている。一定の人間性を示していると思われた西は負傷し指揮も戦闘も行えなくなったとき、捕虜となることを良しとせず、自決する。同じく栗林も人間性にも感じられるその振る舞いや思考の多くは、この戦争での皇国の敗戦を一日でも遅らせるための合理性から来るものだ。そして、西と同じ身の処し方を選ぶ。生きて帰りたい気持ちを抑えつけ泣きながら手榴弾で自決する兵士たちもいる。西は、部下と別れる場面で、「正しいと思う道を行ってくれ」と言った。しかし、最初は仕組まれ、やがては、ある意味では民衆たちが自ら転がしていた人間性の強烈な抑圧と無視を振り払い、逃れ、生き残った者は少なかったに違いない。
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