普段スルーするジャンルだけど、藤井道人だし小松菜奈だしと思って鑑賞。結論としては可もなく不可もなくかな。
演者はみないい。小松菜奈をはじめとしてキャストがハマっていたと思う。やっぱり黒木華は抜群に上手い。ただ、リリー・フランキーのこういう役はもう見飽きた。最近こういうのばっかりじゃない？さりげなく見守る年上キャラっていうか。そろそろ『凶悪』みたいなリリー・フランキー観たいよ。
難病ものの定石を守り美しい映像に仕上げている。その点に関しては異論はない。ただ、逆に言うと難病ものの範疇に全て収まってしまっていて、この作品独自のメッセージなり演出がない。藤井道人の作家性がどうも見えてこない。
『ヤクザと家族』もなんだけど、すごく上手い映画をつくる人だとは思うけど、この監督が本当に伝えたいことが分からない。僕の感覚としては監督には原作あるなしに関わらず、「本当のメッセージ」を持っていてほしいし持っているべきだと思う。「命は大切だ」「今を一生懸命生きよう」とかそんな平凡なことじゃなくて。
橋口亮輔だったら「マイノリティとして生きる辛さ」、是枝裕和だったら「底辺で生きる辛さ」、吉田恵輔だったら「絶望的なディスコミュニケーション」といった物語以上の厚み。それがないと思う。
見終わって、「で、何を伝えたいの？」と思った。藤井監督は上手いけど厚みがない。それを再認識した。
