琥珀

余命10年の琥珀のネタバレレビュー・内容・結末

余命10年(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

『君と出会って、この世界が愛おしくなった。』
余命10年。突然そう告げられたら、どう思うだろう。
茉莉が数万人に一人という難病にかかっていることを告げられのは20歳のとき。大学生、将来に向けて勉学に遊びに謳歌している最中。
高校の同窓会、タイムカプセルに残していた昔の自分からの明るい未来を疑わない言葉が痛い。それぞれの未来へと進んでいく高校の同級生達は茉莉の余命があと僅かとは知らない。
恋はしないと決めた。それでも和人と時間を過ごすうちに、恋に落ち、生きたいと願うようになる。
しかし生きることに執着しないためにと和人と別れる。だが胸の内は、、生きたいと母親の前で泣く姿に、その様子を見ていた父親も静かに涙する姿に胸が苦しくなった。
母親もずっと後悔してたと告げる。病気を宣告された時に動揺して本人より先に泣いてしまったこと。
茉莉の、私たちはどっちが不幸かとの問い。余命を告げられた本人と周りの人々。一見本人を可哀想に思うことは多いが、苦しいのは本人だけじゃないんだと考えさせられる。
最初、茉莉が和人に対し治らない病気であることを隠し続けていたことや、突然一方的に別れを告げたことを不誠実だと思った。でも次第にそれがリアルなんだと思えてきた。真実を告げた時それでも一緒にいてくれるのか、変に気を遣わせてしまわないか、そう思い怖かったのかもしれない。本当の気持ちは分からないが、病気にかかった人も1人の人間なんだよね。
記録として撮影し続けたビデオカメラの映像をひとつひとつ消していくことも、、最後の気持ちの整理だったのかな。
恋愛だけでなく、家族や友人とのストーリーもしっかりとした作品。

『小坂流加に捧ぐ』
映画は小説と少し内容は異なるらしい。いつか読んでみよう。
琥珀

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