クラフト

余命10年のクラフトのレビュー・感想・評価

余命10年(2022年製作の映画)
3.7
10年後の生存率が極めて低い不治の病を患った女性(茉莉)が、残された10年をどう生きるのかが描かれた恋愛ドラマ。

近いうちに死ぬのが分かっているから恋愛なんてしないと決めていた茉莉が、徐々に和人に惹かれていく自分の気持ちとのギャップに苦しむ姿が切なかった。

そして彼女を救いたいけど、どうすることも出来ない家族のやるせ無さや、「このままだと死ぬのが怖くなる」とか「死にたくない」という、気丈に振る舞っていた茉莉から初めて出た正直な気持ちに胸が苦しくなった。

エンドロールの「小坂流加に捧ぐ」が気になって調べてみると、原作者の小坂流加さんが主人公と同じ病を抱えており、「余命10年」の文庫版の編集が終わった後に亡くなったそう。

この物語自体はフィクションだったかもしれないけど、茉莉の心情や行動にどこかリアリティを感じたのは、小坂流加さんのそういった境遇があったからなんだろうなー。