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ドーナツキングのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

ドーナツキング(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

“ドーナツ王”こと、テッド・ノイの数奇な人生を追った、ドキュメンタリー作品。

「カンボジアから亡命してきた男がドーナツで財を成す…」という、何ともアメリカンドリームな話にはシンプルに驚かされました。
まぁ、時代的にファーストフードの需要があったり、家族経営で児童労働をさせてたりと、かなりラッキー&イリーガルな部分もあるので、素直に喜べない部分もあるんですけどね。
とはいえ、彼の努力と挑戦がなければ成し得なかった事ではあるので、その点は称えられるべきでしょう。

あとは、カンボジア内戦について時間を割いているのも印象に残ったかな。
カンボジア内戦については、ほとんど知らなかったので勉強になりましたし、「教育を受けてるだけで殺す」というポル・ポトのメチャクチャさも衝撃的。
そんなカンボジアからテッド・ノイが百組以上の家族を支援したという話も良かったですね。
まさにノブレス・オブリージュと言いますか、なかなか出来る事ではありません。

話はこれで終わって、めでたしめでたし…なのかと思いきや、ここから彼の転落が語られると。
ギャンブル中毒になって一文無しになるわ、浮気がバレて離婚するわ。
途中で映っていた豪邸が、彼のものでない事を知って驚きましたよ。笑
いや~ここまで波乱万丈な人生を送っている人は、なかなかいないでしょう。

ギャンブル中毒になってしまったのは残念でしたが、でも、彼の人生を振り返ると、元々ギャンブラーみたいな生き方をしていて。
学生時代に恋人の家に忍び込んだり、プロポーズしてる時点で、かなりギャンブルをしてる。
そんなギャンブラー気質の男だからこそ、ここまでの成功を収められたのだと思うし、そう考えると、避けられない運命だったのかな…という気もします。
それに、今のテッド・ノイから不幸そうな印象は受けなかったし、重荷を下ろせて良かった部分もあったんじゃないかな?
共和党とズブズブだった事を考えると、あのまま権力を持ち続けてたら、ろくな事にならなかった気もするんですよね。

「共産主義のカンボジアから逃げた男が、資本主義のアメリカで成功する」というのが寓話的だし、「資本主義の象徴とも言えるカジノで身を滅ぼす」というのも寓話的。
リドリー・スコットが製作総指揮に入ってるのも、何となく頷けます。
波乱万丈な男の一代記としての面白さは勿論、それ以外にも様々なトピックも知れて、良質なドキュメンタリー作品でした。
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