高低差、モノを渡す行為、動きによる拒絶反応、目線等によってキャラクターの心的主従関係を少なくとも2つの角度からのアプローチによって深堀りする。それをワンカット長回しの中に収めてくる驚異的なカメラワークと演出。特に高低差は全編を通して維持され、『めまい』のような鐘楼からの落下、魔女と夫との位置関係はジェンダー本質主義に根ざした科学と迷信の対立へと繋がり、『Night of the Eagle』のようにその対立構造そのものをぶち壊すという大胆な帰結は、メキシコという国からしても「治療法」として現実へと還元する意図を込めてそうに思えてくる。