うちみ

イノセンツのうちみのネタバレレビュー・内容・結末

イノセンツ(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

 大きな団地へ引っ越してきた主人公の女の子。そこで特別な能力を持つ男の子と友達になります。自閉症の姉や別家族の女の子も加わって、4人は秘密を共有する仲に。扱いに慣れてきたころ、ちょっとした言動がきっかけで、その能力は人へ向けられるようになり…という話でした。

 みんなにおすすめ…はしづらい作品です。可愛らしい子どもや動物が無惨に死んでいく場面があるので、人を選ぶ内容だと思います。

 派手なシーンはあまり見られません。舞台は団地の静かで平和な日常です。だから超能力がより際立って、異質で不穏なものに見えて怖かったです。

 子どものやることだからとにかく純粋で遠慮がありません。気に食わない、やる。仕返しだ、やる。負けたくない、やる。
後半の超能力バトルが子ども4人のなかだけで静かに繰り広げられる様子も恐ろしかったです。
最後は力と力のぶつけ合いで決着をみますが、悲しいです。

 意味ありげな終幕、エンドクレジットの流れ方など、最後まで世界観へのこだわりを感じられてよかったです。気持ちのいい作品ではないけれど、とても見ごたえがあって、「うーん!」と唸りました。

 “大人には、秘密。”という日本版ポスターに書かれたキャッチコピーについて少し違和感。超能力を「秘密だよ〜…」というよりは、「どうせ言ってもわかってくれないじゃん…」のほうがしっくりきます。
大人は子を見ていないし、親は子の話をわかってくれません。もどかしく悶々鬱々とした感じの場面が多かったような気がします。

 最後のブランコのシーンなんて、周りの大人たちはだれも声をかけない、気に留めない、気づいていない。独りで息絶えてしまったのに。本当にかわいそうなシーンでした。悪者がやられて一件落着という心境にはならなかったです。

 怖くて怖くて本当はすぐにでも大人に助けてもらいたいけど、打ち明けてもどうせ理解できないよねって諦めて口籠って苦い表情をする、9歳の女の子。私が殺すしかないと心に決めたときの表情。そんな姿を見せられるとは。うーん!すごい!

 交通事故で脳しんとうを起こしたから、主人公も能力が開花したんでしょうか?
うちみ

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