巡業しながら町を渡り歩くサーカス団を描いた悲哀に満ちた人間ドラマ。
サーカス団の地位の低さや貧困、差別を底辺に描いた作品で、道化師の白塗りや人々を笑わせるステージは悲哀の象徴のよう。
妻に拒否され老いて落ちぶれた座長のアルベルト、座長にすがるしかできない愛人のアンナ。2人は辞めたくても、サーカス団としてこれからも生きて行くしかない。
道化師と妻の海辺でのシーンがすごかった。サーカス団の地位の低さを、サイレント映画のような演出とニクヴィストによるコントラストの強いモノクロ映像で見せる。インパクトが絶大でした。ニクヴィストは今作が初のベルイマン作品。
監督と恋人関係でもあるハリエット・アンデルセンが若くて美しかった。興行的には失敗だったようだけど、この後の傑作に続く良作だと思う。