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パラレル・マザーズのメルのレビュー・感想・評価

パラレル・マザーズ(2021年製作の映画)
4.0
予告ではシングルマザーと赤ちゃん取り替えだけに焦点が当っているけど、スタートからスペイン内戦で犠牲となった先祖の遺体発掘の話が出て来て2つの話が同時進行する。

「ペイン・アンド・グローリー」で自身を振り返った監督がスペインという国の過去を振り返る作品でもあった。

スペインの歴史なんか知らないと言う若い娘に「自国の歴史を知るのは国民として必要な事!」とペネロペが強く主張する場面は印象的。

2人のシングルマザーのバックには女達の多くのサポートがあるが、体裁を気にする父親、欲求を満たすだけの男達と、男の殆どが自分勝手に描かれているのもアルモドバルらしさかと思う。

監督独特の母親讃歌の一面と、その母親達も悩み、悲しみ、そして許し合っていく姿がさらりと描写されている。

ラストはやや大雑把な感じもするが産院を訴えるとか、過去の誰かを責めるとか、そんな息苦しさが全く感じられない、とても大らかなエンディング。

ジャニス・ジョップリンの「サマータイム」が流れたり、予期せず貫禄のロッシ・デ・パルマが見られたのは大きな喜びでした。
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