カイト

死刑にいたる病のカイトのネタバレレビュー・内容・結末

死刑にいたる病(2022年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

24件もの連続殺人の容疑で死刑が判決された殺人鬼が依頼する1件の冤罪証明から動くサイコスリラー。

孤狼の血シリーズ、凶悪などがある白石監督特有の思わず目を逸らしてしまうような視覚的な恐さと観る者をげっそりさせるほどの心理的恐さがこれでもかというほど表現されていた。

本作のハイライトはなんと言っても殺人鬼榛村に憑依した阿部サダヲの演技だと言える。特に予告編でも強烈なインパクトを残していた阿部サダヲの光が全くない黒目のアップには心から恐怖心を抱いた。収容所で身動きが取れないはずの殺人鬼なのに何をしでかすか分からない恐さと徐々に人の心に入り込む魅力が絶妙に表現されていて、引き込まれた。

殺人鬼とコンタクトを取る大学生を演じた岡田健史も阿部サダヲに負けず劣らずの存在感を放っていた。普通の大学生でありながらも深すぎる心の闇、危うさが共存していて、そこに榛村の要素が徐々に加わる様が印象的だった。

バイオレンスな描写や阿部サダヲのインパクトに負けずに正統派のサスペンス要素もあり、物語としてもとても面白かった。

最後のシーンでは榛村の底深さ、終わらない闇の連鎖が一瞬で表されていて鳥肌が立った。
カイト

カイト