マチルダ

死刑にいたる病のマチルダのネタバレレビュー・内容・結末

死刑にいたる病(2022年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

1回観ただけじゃ私は一人で考察しきれないのでこれから色々な人の様々な意見を読み漁ります〜

ひとまず阿部サダヲさん圧倒的怪演…底無しの闇を感じるあの死んだ様な目、本当に怖かった。

ハッピーなシーンは勿論1秒も無い、永遠に暗い、長丁場でこれだけのものを見せられて胃もたれ…そしてPG12じゃ駄目でしょうこれ。

榛村と雅也、面会室のアクリル板の壁1枚を隔てて展開していく物語。段々と近付く二人の心の距離が、アクリル板に映ったお互いの姿にどんどん重なっていく。母親をはじめとしたかつての関係者達をも巻き込み雅也のことを徐々にコントロールしていく様子は、狙った獲物は支配して絶対に逃さない…という、これはもう榛村の歪んだ愛情…なのかな。
掌握されていく過程で雅也が道でぶつかったおじさんを殺しかけるシーン、そこから灯里を無我夢中で襲うシーン…鬱々としたものの平凡なFラン大学生だった筈の彼がどんどん壊れていく。榛村にとってはあの場から動かずとも人一人操る事なんて造作もないのか…?スーパー殺人鬼すぎる、、非現実だわ、、
あ、でもそっか、雅也がこういう未来を辿るであろうことも予測済みなんだろうな…雅也の現状がこう鬱々としたものでなければそもそも榛村に会いに行くことすら無かっただろうから…。いやますます鳥肌だわ

親から抑制されて育った子供は、我儘になったり過剰に自己被害を訴えるようになったり、愛情不足故か自尊心が著しく低くなる…つまり愛に飢えている、そんな雅也を榛村は何年も前から狙い続けていた…ターゲットというのはそういうことなんでしょうか…端から殺すつもりなんて無くて、自分と同調してくれる自分と同じ境遇の存在を作りたかった?理解してほしかった?
じゃあ最後の灯里は、それこそ榛村の意思を継いだかのような彼の理解者だったのかな。
それにしても灯里の最後の言葉、ぐつぐつ煮込みまくったヤンデレみたいな言葉だね…でもちょっと気持ちわかっちゃった、好きな人の一部を持ってたい…うーん、わ…かるかも…笑

もう作中、榛村のミスリードがあまりに巧みで、まんまと掌で踊らされました。
雅也と榛村、互角になったか?雅也が優勢か?と、ほのかな希望を抱かせてきて、心のどこかではわかっていつつやはり榛村は一枚も二枚も何枚も上手でした。ああいうことを無意識に出来てしまうのだから何て恐ろしい人間なのか…

最初のシーンの花弁、すっかり桜の花弁だと思っていて端が汚れていることにも全く気に留めませんでした。あれは死んだ高校生たちの…なるほど恐ろしい。
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