じょうパン

死刑にいたる病のじょうパンのレビュー・感想・評価

死刑にいたる病(2022年製作の映画)
3.7
全然悪くはなかったけど、最後もう一押しくらい欲しかったかな。雰囲気がきちんと統一されてて退屈せずに観れたのでそこまで面白くないとはならなかった。また結構重要な伏線とかが隠れてるので2回目観ても面白いかも知れないです。例えばお母さんの「お母さん、決めれないの」とかパッと聞いた感じ普通なセリフが伏線になっていたりして2回目観て気づけることもあると思うから楽しいかも。

◻️脚本
榛村大和が「9人目の犯人は俺ではないんだ。見つけてくれ」というのがきっかけで雅也が真犯人を探していくのが大まかな物語だった。
ただもうこの時点で雅也や視聴者全員が騙されていたんだと観終わった後思いました。何故なら榛村大和という人物は恐らく、殺人が好きなのではなく、仲良く築き上げてきた関係を一瞬でぶち壊すのが好きなのだろうと観ていて思いました。そうなると観ている私達は榛村大和の事を悪い奴とは分かっていますが、どこか嫌いになれない「彼の言っていることは本当なのでは?」と雅也のように感じたと思います。この時点で榛村大和の思う壺にハマり、だから最終的に少しイラっとしたというか、気持ち悪い感情になったんだと思いました。また榛村大和が雅也に「殺人犯の息子だという特別な称号を手に入れたかったんだよね?残念でした」というセリフがもう完全に榛村大和の術中にハマっててなんか刺さった。真犯人がどうこうとかではなく、榛村大和の視点で映画を観てみるとまあまあ良くできてる脚本なのかなとは思いました。
あとは、雅也の設定であるFラン大学に通っているっていうのが良いなと感じました。

あとは少し疑問に思ったところがいくつかありました。
・榛村大和が何故爪を取り、爪を流したのか
・女子大生の加納灯里はどういう立ち位置だったのか、またなぜ傷口を舐めたのか
・何故衿子はあの旦那さんと結婚したのか
・面会室にいた警官は何故時間を過ぎても何も言わなかったのか?榛村大和に操られてたのか
が気になりました。

◻️映像
面会室でのシーンで榛村大和と雅也の顔がだんだん重なっていくのが良かった。ゾクゾクした。


◻️演技
阿部サダヲさんの演技が怖いと話題になっていますが、確かに怖いです。でもおそらくそれは普段みんなが思う阿部サダヲが明るいキャラでバラエティーとかに出てるから怖いと感じるんだと思います。しかし阿部サダヲさんは普段から演技になるとガチでやるので今回の阿部サダヲさんも目だけではなく姿勢や肩を見ると流石だなと感じました。阿部サダヲさんの凄さというのをもっと知ってほしいなと思いました。
他のキャストの方も演技は上手でした。ただ3代目の岩田さんは上手いんですけど、顔が整いすぎてて違和感というかなんか合っていないなと思ってしまいました。

◻️まとめ
世間の方が評価しているよりかは個人的には楽しめました。別にどんでん返しとかがやりたい作品ではないなかなと感じたので、どんでん返しを目的としてる人は確かに物足りなかったと思います。ただあの終わり方があまりよく分からなかったです。あと拷問のシーンは結構観ててきつかったです。
オススメはできないけど、観たいと思ったら全然観れる映画でした。

2024年 8本目
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