このレビューはネタバレを含みます
岩本蓮加が好きだから見れたまである。好きじゃなかったら多分飽きる…
皮肉なことに退屈だったからこそ、映画を観ながら『 桜』というものに思いを馳せることが出来た。
『 世の中にたえて桜のなかりせば
春の心はのどけからまし』
高校でせばまし構文の代表格として扱われるこの在原業平の句。この1つの句から広げられた映画だと思えば胸を打たれるものは多くあるかもしれない。
主人公の元担任の先生にとって、国語の教師になることは憧れ、期待とともに待ち望んでいた事にちがいない。しかし現実はちがった。憧れの職業になったことで自分は苦しんでしまった。憧れさえしなければ、などと思っただろう。そう、日本人にとって桜を見ることは1年間かけて待ち遠しいものであり、桜が散る頃にはその儚さ故に少なからず心を動かされるものだ。在原業平は結果的には桜を大いに賛美する句になったものの、反実仮想が用いられる句からは、桜を過度に待ち望んでしまい、そのせいで散った時の哀しさが増してしまったことへの後悔の念も感じ取られる。この映画ではこの事が先生という憧れを通して描かれているのかもしれない。
早く桜みたいな〜