原作未読。事件と解決へ向けての流れは「砂の器」を思い起させたのですが、比べて盛り上がりに欠けるなあと感じていたところ、最後に意表をつかれました。
タイトル通り「ある男」の話なのですが、どの男（女）にも通じる話であり、名前や属性や生い立ちなどのいわゆるアイデンティティは必要なのか？変えられるのか？“自分”を捨てられるのか？を問うテーマです。
それゆえに謎を楽しむミステリではないし、根底にあるドラマは切ないし、社会問題にも触れざるを得ないし、どうにも地味になってしまうのは仕方ないのですが、役者陣がとても良くて、安藤、窪田のハマり感とか柄本明のアクセントも効いていて、あとからじわじわと“映画”を観たなあという気持ちになります。
良いポイントはたくさんあるんですけどねぇ、いろいろともったいないなぁと思いました。
