うぇいちゃん

ある男のうぇいちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

ある男(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

なんて、深いんだ!!!

「ある男」とはなにか。
「死刑囚の息子」「旅館の息子」「在日韓国人」「弁護士」「犯罪者」
そうゆう肩書きや、境遇に引っ張られ、人はその人の印象を持つ。
100%その印象が間違っているとは言いきれないが…
例えば、一見よく聞こえる「旅館の息子」は、本人にとっては苦しい境遇、「死刑囚の息子」と聞けば恐れる人も多かろうが、実は心優しい人。
表面的な事実や一面では人間をくくることは出来ない。
この作品は、一言では言い表せない人間という存在、決して誰とは言いきれない「ある男」を描いた作品。そして、分類したがる人間の黒さを描いた作品。

「戸籍交換」とはテーマがとても面白い、変えられないルーツに苦しみ、こんな人生なんて、そう思うことも他人から見たら羨む人生なのかもしれない。
こんな人生でも欲しがる人がいるかもしれない。
「羨ましい」という感情は実に浅いと思う。
だってその人の全てを知った上で出た言葉ではないから。その人になれたとして、本当に負の感情は一切なくなるのだろうか?
きっと今1番苦しいことから逃げれるだけであって、それはそれで悩みはあるだろう。
それでもなお他人になりたいと思ってしまうのが人間で、ラストシーンで城戸も今ある現実から逃げたくて谷口の経歴を語っていたのでしょう。自分を保つために。

他にも深いところはある。
絵画で始まり、絵画で終わるこの作品だが、ルネ・マグリットによって制作された「不許複製」という絵画らしい。
“300年生きている男” とは名乗る人が居ないのに生きていることになっている人だろうか。

何回か見たら感じ方が変わる、また見たい。

あ、結末はっきりして欲しい人には向いてない作品だよ、
自分で色々考えたい人にオススメだよ。