ジョージ

ある男のジョージのネタバレレビュー・内容・結末

ある男(2022年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

cmか何かで見て気になっていたやつ。

子どもを亡くし離婚して地元に戻った母親。県外から林業をやるために移住してきた男と結婚し新しい人生を幸せに送っていたが、事故で亡くなってしまう。1年が経ち夫の親族とようやく連絡を取り夫の兄がやってくるが、「これは弟の顔では無い」と言う。そので妻は自分の夫は谷口大裕を名乗る別人だったことを知り、知り合いの弁護士に調べてもらうこととなるが……。
という話。

死んだ男は何処の誰なのかを知っていく話だと思いきや、複数の過去や戸籍、家族から離れてやり直したいと思っている男が戸籍を交換していくという話だった。

弁護士の人はあくまでも脇役だと思っていたんだけど、見終えたあと理解した。偽の大裕から名を受け継いだように、主軸も大裕から弁護士に移ったんだなって。
在日三世である彼は日本国籍を得ているが弁護士になり地位を得てもなお過去に縛られている。きっと今まで差別を受けて来たんだろうと分かる。そんな彼が過去を捨て戸籍を入れ替えた男に執着していたのは、やっぱり仲介人が言うように羨ましかったのではないか。過去を捨てて新しく歩めるなら、と思っていたのだと思う。
それだけに、あの最後のオチは納得した。一度はそれでもと思っていたのに、みたいな。
今思えば仲介人の「300歳まで生きる人が存在する」って話は戸籍を受け継いで生きた人の話だったのかもしれない。ちょっと年齢うろ覚えだけど。
過去を捨てて新しい人生を歩むことで、人は幸せになれるのか。その人の人生なんだから楽しむべき、という台詞が皮肉に聞こえる。
なんというか、見終えた後噛み締めてしまうような作品だった。
ジョージ

ジョージ