TakuoAoyama

ある男のTakuoAoyamaのネタバレレビュー・内容・結末

ある男(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

戸籍交換系のお話。

「愛したはずの夫は、まったくの別人でした」

このキャッチコピー通り、谷口里枝(安藤サクラ)は離婚し、息子悠人と故郷の宮崎県日向に戻り、谷口大祐(窪田正孝)と出会い、再婚するも、林業の仕事中の不慮の事故で大祐を亡くしてしまう。兄であり、伊香保温泉の"お宿玉樹"の社長の谷口恭一(眞島秀和)が法要に訪れた際に遺影を見て一言、「これは弟ではない。」
その後、里枝は昔世話になった弁護士の城戸章良(妻夫木聡)に身辺調査を依頼し、城戸はこの真実に迫っていく。という完璧な掴み。

そして刑事ではなく、人権派弁護士という設定も面白い。相棒の中北(小籔千豊)と共に事件の真相に迫る。

また、調査の過程で収監中の小見浦憲男(柄本明)という男の一言一言に惑わされる。

殺人者の息子、老舗旅館の跡継ぎの弟、在日二世。

同じ土俵で語られるレベルでもない気もするが、それも当人達にしか分からない悩み。これら生まれながらにして自分ではどうにもならない人生を背負わされた苦悩から、戸籍を交換するという対策を選択する。

「僕が話すよ。」

親の木を子供が切り倒すという話が印象的だった。

ラスト「不許複製」という絵を見つめる城戸。含みのある終わり方だが、城戸は2人が羨ましく、良いとこ取りをしたということか。
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