ブルースたかぎ

ある男のブルースたかぎのレビュー・感想・評価

ある男(2022年製作の映画)
3.6
なかなか繊細で重厚な映画です
とにかく安藤サクラの魅力がつまってます
最初から最後までずっと魅力的
窪田正孝もさすがといったところです
東京グールで彼の演技を見て、彼には興味が湧いているんです
ほかにもたくさんの俳優が出てて、豪華です
妻夫木まで出てますから

しかしテーマはなかなか難しいというか、万人が共感できるものではないのかなと思いました
少なくとも私には主人公に共感できなかった
自分の境遇や過去を捨て、別人として生きた男の話ですが、
大人になればなるほど、捨てたい過去やしがらみから自由になりたいという思いは強くなるはず
でも、戸籍を変えて(まず変えることが困難だと思う)別人の体裁を手に入れても、自分は自分を逃しはしない
結局は何をしても自分からは逃げられない気がします
だから、どのような方法もリスクを冒してまで実行する価値はないのでは?と思う
しかし、本作の主人公たちは、自らの行いではなく親や人種で不遇に苛まれている
私はそのような経験はないので分からないが、自分に原因がないのに不遇を受けたとしたら、何をやってでも別人になりたいと思うのかもしれません

サスペンス調で話が進みながらも、アイデンティティとはいったいなんぞや、自分はどこにあるなどといった普遍的なテーマを掲げています
役者が表情で語る演技をしてますね

最初の安藤サクラがとにかく可愛くて恋しそうでした