きみどり

観察者のきみどりのレビュー・感想・評価

観察者(2021年製作の映画)
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嬉し恥ずかし(←昭和の語彙)の同棲生活を始めた若いカップルは、向かいの建物のとある一室が丸見えなことに気づく。単純な好奇心から始まった覗き見が、やがて取り返しのつかないことに…。

ほうほう、ヒッチコックの『裏窓』オマージュですか、懲りませんなあと斜に構えていたら、予想を裏切るツイストがあってけっこうびっくりしました。
結末で目が点になっちゃったけど、いや、これはわりと好きです。
現代の寓話であり、我々に向けた警告であり。ほんと気をつけようって思いました。

しかしお色気シーン(←昭和の語彙)多過ぎ!こういうの今どき流行らんよなあ…なんか、90年代のテイストだなあって思っていたんですけども。
監督のSNS見に行ったら「お話が二転三転して、めちゃセクシーな、昔のハリウッド映画みたいなのをずっと撮りたかった」とあって、つまりすべて計算づくなのでした。

そして私の推しイットガール、シドニー・スウィーニーがやはり素晴らしかった。
ヒッチコックはグレース・ケリーを“A snow covered volcano”と評したそうですが、スウィーニーはこの系列に連なる俳優だと思っています。表面は美しく取り澄ましてるけれど、中身は情念のマグマがのたうち回ってるタイプ。
そういやグレース・ケリーは『裏窓』に出てますね。あら…ここまで監督の計算だったら本当にすごい。
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