慎一郎

香川1区の慎一郎のレビュー・感想・評価

香川1区(2021年製作の映画)
4.5
ポレポレの最終上映日にかけこみで。めっちゃ面白かった!!
今回は対抗陣営の平井さんにも取材しているのですが。最初は取材にも穏やかに応じてるし、前作の「なぜ君は総理大臣になれないのか」も「観てないです」とか答えてて、ある意味余裕の反応だったものの、選挙後半、劣勢を意識したんですかねえ、映画じゃなくて実績を見ろとか、映画で当選するんだったらみんな映画撮るようになりますよみたいなこと言い出して。取材にも敵意むきだし。だったら平井さんも撮ったらいいと思うよね。映画。きっとつまんないだろうし、誰も観ないと思うけどね。映画ファンなめんな。
まあでも平井さん陣営からみたら(それこそ小川さんが維新に都合よく切り取られたと感じたのと同じように)悪意を持って切り取られた映画に見えるのでしょうねえ。中立性に問題あるって騒ぐ人は平井さん本人以外にもいそうですが。そもそも映画でも報道でも完璧な中立なんてありえないし、それを目指す必要もないということは大前提としたうえで。大島監督はそれでも自身の主張と取られられるような脚色は極力避け、自身が目にしたことそのままを誠実に映像化していると思います(まさにワイズマンにも通じる正統派ドキュメンタリー)。その見たままがとてもつもなく面白かったというだけの話。多くの人を気持ちを動かす作品になったという話。前作の頃とは街頭の雰囲気も演説への反応もまったく変わっていて。自発的に応援している若い世代がいて。ああ日本でもこんなに熱く選挙ができる可能性があるんだってことに素直に感動しました(闇も思った以上に深かったけど・・・)。
娘のあの最後の言葉は泣いたねえ。ドキュメンタリーでこんなに泣くとは思わなかった。傑作だと思います。
慎一郎

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