岩嵜修平

フタリノセカイの岩嵜修平のレビュー・感想・評価

フタリノセカイ(2021年製作の映画)
3.7
どれだけ想像しても、当事者の気持ちは理解出来ないけれど、国内外問わず今までに観たトランスジェンダーを描いた作品の中で一番、その人の見ている世界を観られた気がした。その分、社会の残酷さを実感出来たし、変えていかないといけないとも思った。口で言うだけでなく生活から。

2年半前の撮影ということで、今年、『茜色に焼かれる』で賞を取った片山友希は、序盤の感情の爆発シーン含めてこの時から凄かったのかと驚いた(初めて認識したのは『べっぴんさん』だったか)し、トランス役のキャスティングの悩ましさは有りつつも、坂東龍汰の葛藤し続ける表情が素晴らしかった。

飯塚花笑監督は、ところどころのユーモア含め、しっかり脚本も書ける稀有な映画監督だと思うので、映画、ドラマ問わず活躍して欲しい。説教臭くなく、ちゃんと伝えるべき言葉を自然にセリフの中に盛り込むのも上手かったし、シンプルに刺さってきた。
岩嵜修平

岩嵜修平