フタリノセカイの作品情報・感想・評価

「フタリノセカイ」に投稿された感想・評価

お互い一目惚れして好きになって付き合ってたのはいいけど、秘密を相手に言えない時期はどんなにツラかったのか。
最後のさいごは鳥肌が出て涙が止まらなかった。秀吉のエンディング曲が涙を誘う。

特に坂東龍汰さんの友人役をされた松永拓野さん。最近人気急上昇のマカロニえんぴつのMV『ブルーベリー・ナイツ』を鑑賞前に偶然観て、あまりのギャップに驚いたし震えてしまった。
気になる方は是非観てみてください。
彼のこれからの活躍が楽しみ。
私は大ファンになりました。
梅村

梅村の感想・評価

3.5
観終わるとタイトルの意味が良くわかります。二人の世界。フタリノセカイ。

昔本で読んだカイロウドウケツとドウケツエビという生物の話を思い出しました。(同音の『偕老同穴』という四字熟語が名前の由来です。)
雌雄未分化のドウケツエビの幼生は二匹で一対になって、花かごのような形をしたガラス質の骨格を持つ海綿の一種であるカイロウドウケツの中に入ります。やがて成長し網目の隙間より大きくなると、雄と雌に分化してそのまま死ぬまでカイロウドウケツの中で一生を二匹っきりで過ごします。

白状すれば、自分はこの映画のラストの展開に、美しさや多様な在り方への希望と同時に、少なからぬ怖さを感じてしまった部分は間違いなくあったと思っています。
共依存のメリーバッドエンド。閉じた世界での"二人"よがりな幸福。彼女達の選択をしてそう捉えてしまう視線こそが、性的な多数派たる我々の無意識な驕慢でありかつ無自覚な排他性であるのかもしれません。

性自認の問題にかかわらずですが、"ドウケツ"に押し込んで目隠しにしてきた人達の生身の人生をまず直視することから始めるべきなのだと思います。

このレビューはネタバレを含みます

実は知人の依頼でエキストラ出演した作品。撮影からしばらく公開の知らせがなく気にしていた作品。でも最寄り映画館の公開初日に鑑賞することができました。
しかも思いがけず舞台挨拶もあり、サプライズでした。

心理学で性マイノリティを考えるときは、性自認(Gender Identity)と性的指向(SexualOrientation)を踏まえることがセオリーであるが、鑑賞数日前に発達臨床の先生から
「私達は性自認や性的指向が確立する遙か前、生まれた時に一人の医者から生物学的性(Biological Sex)を決定され、その後その性に求められている性役割をあたりまえとして教育される」との話しをきいた。
「あたりまえ」は私達の混乱を防ぎ、生きやすくするためのに受け継がれてきた知恵であるのだろうが、時に私達を苦しめるものにもなる。

最初のエピソードが、主人公・小堀真也(坂東龍太)が恋人の今野結(片山友希)にトランスジェンダーであることがばれてしまうという冒頭からのクライシス。その後もシリアス展開がつづく。
ストーリーの連続性は薄く、小説でいえば第一章と三章があって、第二章が丸々抜けている感じ。もう同棲しているんだ、アッ結婚してんだねとスリーリーの転換に戸惑うところもある。それでもストーリーに引き込まれるのは、役者の演技が良いからであろう。終盤のエチュード(即興)で撮られたという、真也・結そして俊平(松永拓野)のカフェのシーンは自分も泣いていました。

映画の手法も素晴らしかった。冒頭で使われる、日本神話「国生み」の朗読は真也・結の関係を象徴しているのだろうし、"2人の世界"を作ることになる暗喩にもとれる。終盤で再び続きが語られ、二人の子供が育たなかった事と重なる。
ラストはいろんな解釈が可能(自分は命を授かるために、今まで否定してきた生物学的性を受け入れた昇華した姿と理解)で、賛否を含め様々な意見が出るのだとおもうが、予想しえなかった展開で、良い終わり方だと思う。

先の発達臨床の先生は語る。「子供に『LGBTQって知ってる』と聞かれたことがある。私は『言葉としては知ってるよ、でも理解しているかは難しいかな』と答えた」と。その道の大家でも理解は難しいのである。凡人である私はまず、知ることから始めようと思わせる作品であった。

追記 エキストラ出演したシーンでは、短い時間であったがエキストラで集まった人達をきちんと映像に残してくれていた。制作陣の配慮を感じた。
DrYOUKI

DrYOUKIの感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ワタシノシラナイセカイ

多様性とか、LGBTの理解が進んだとか言われても、身近にそんな友達も知り合いもいないし。実際のところは何も知らない。

セックス、結婚、妊娠… 考えること多すぎるわ。

本作の鑑賞で、少しは理解できたのかな?

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ユイは、なぜあの男と結婚したのか?(ワンナイトまでは、理解できたが...)男性の魅力がわからなかったので、不倫しても、彼に同情することもなく…

ユイの両親は、どう考えてたんだろう?

ラストの決断。あれが最善だったのか?他にもいろいろ方法はありそうなものだか。わからん。

タイトルの出方、好き。

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「監督になって戻ってくる」と言って、卒業したアルバイト先の映画館に、有言実行で帰還した 飯塚花笑監督。かっこいいね。
じゅ

じゅの感想・評価

3.6

このレビューはネタバレを含みます

すっげえ、盛り込めるだけの試練を盛り込んだ感ある。
出会ってしまった小堀真也(小堀愛)と今野結。体の関係を拒まれて浮気を疑っていたら実は真也は身体は女性で、人生経験だけあって理解のない周囲からの言葉を散々聞かされて、性適合手術の費用を巡って諍いが起こって、互いの気持ちを引きずったまま別れて、結は半ばヤケで肉体関係を持った内田勇人と結婚して、しかし気持ちは途切れずまた会うようになって、真也はそれに気づいた勇人に示談金を取られて手術費用を失って自暴自棄になって、結は勇人と離婚して、なんやかんやヨリを戻した真也と結は親友の俊平に精子の提供を頼んで結が待望の娘のそらちゃんを身ごもるがどうやら亡くなる。
憎まれ役だったであろう内田勇人という人物も、そこそこいい歳だし彼にも彼の人生があるだけになかなか不憫だなと思う。

俺ただ片山友希さんが今後活躍の機会を増やしてくんじゃないかと思って今のうちから見とこうとしただけなのに、なかなかにハードだった。
確かに、幼稚園の紙芝居でイザナギだイザナミだ男女の話を前面に押し出してきた時点で心の準備必要かもとは思った。


世間的に少数派の自分たち(性的少数者の真也とか俊平のような人然り、結のようなシスジェンダーで異性として愛した人が実は同性だった人然り)は多数派と同様の幸せをまだまだ享受することはできないだろうという諦観と、それでも自分たちなりの幸せの形を模索していこうとする意志の話と思った。
身体的には女性同士だから望んでも子宝に恵まれることはないし、周囲は知ったような口きいてきて鬱陶しいし、性自認と合致するからだのために金がかかるし、結婚も出来すらしない。
それでも、少数派同士で疑似的に家族のような関係を構築して、男性器を持つ親友から子種を結に提供してもらって、結の体が弱くて出産が難しいのであれば真也がその役を引き受けることにした。決して簡単な決断ではなかったことは想像に容易いけど、彼らはそうして自分たちなりに自分たちにしかできない形で幸せになろうとしている。
「俺たちもう大丈夫だよね」と、いつか書いた婚姻届を破り捨てた真也と結。真也も結も俊平もまじでどうか幸せであってくれ。


「何が見える」の台詞はしびれた。手術費用を失って自暴自棄の真也の家に結が来て追い返そうとするけど、結が食い下がったときの「何が見える(2回目)」はなんか知らんけど「真くん!!!!」ってなった。
いずれも結の答えは未来のことだった。もしかしたら、誰にとっての未来なのかが違っていたのかもしれない。
1度目は自分のための未来。乱暴な言い方をすれば、自分の幸せのために真也にいてほしいと望んだ。さっさと手術をして戸籍を替えてもらって結婚して自分の夢である子供がほしかった。結果、真也がくれた結婚指輪を見て嬉しさより金銭的な焦りが生じたし、「結は未来のことばかり」だと真也とすれ違いが生じた。
2度目は2人のための未来。将来の展望を失った真也に寄り添って、真也と共に未来に向っていくことを望んだ。真也のありのままの姿を見て、それすら受け入れて、戸籍がどうとか関係なく真也を愛することができた。今や2人は足並みそろえて歩んでいける。
思えば結も、憎まれ不憫おじさん勇人に「未来のことばかり」と言っていた。歳も歳だし生き急いだんかなあ。


俊平の言葉にはハッとした感じがする。曰く、好きにすればいいが、好きにしすぎると男も女も超えた存在になって、誰からも愛されるけど誰からも本当に愛されない人になるのだと。ぼんやりなんとなくわかるような気がする。
「誰からも愛される」というのは、雑に簡単に言えばみんなマツコ・デラックスが好きみたいなことだろうか。マツコ自身どこかで人知れず話を聞く技術だとか学んだかも(ある程度は天性のものかも)しれないけど。確かに俺も好きだし凄い人と思う。
「本当に愛され」るというのはどういうことだろうか。気取った言葉を使えば誰かの「運命の人」になるとか、誰かにとって最も大切な人になるとか、そういうことだろうか。そういう人になれないと言われれば、確かにそうなのかもしれない気がした。俊平は結と真也を再び引き合わせようとしてたし、そんな風に縁の下ポジションというか裏方というか、昔の青春ドラマあるあるの主人公の男と同じ人が好きな親友と同様のポジションに自然と回ってしまうような印象はある。

そんな中、真也と結との家族の一員になってほしいっていう提案はなるほどと思ったし、彼らしかできない提案だったと思うし、その意味では綺麗な結末だなと思った。真也と結の望みを叶える方向に進んでいってるし、俊平の「恋人も家族もいなくて気楽だけど孤独」という諦めに希望を与えているように思える。

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【追記】

なんか、本作製作にあたってLGBT指導だったかのポジションに就いた若林佑真さんという名前を記憶している。
ググったところ、元女性の俳優で、トランスジェンダーの尊厳とか権利について論じるイベントに出たりもしているんだそう。そんな情報見たら「多数派と同様の幸せをまだまだ享受することはできないだろうという諦観」とか思ってるの恥ずかしくなってくるな。懸命に状況をよくしようとしてる。
daruma

darumaの感想・評価

4.5
よすぎた…期待通り、期待以上。思わずパンフ買ってしまった。

惹かれた理由は片山友希ちゃん&坂東龍汰くんというキャスティングだったのですが、話も素晴らしかった!
尺は割と短めだと思うのですが(よく考えると故にか)、スピーディーな話運びの上に凝縮されている。無駄がない。

喫茶店のシーン、泣きそうになった。
パンフを読んだら台本無しの一発撮りだったそうで、まさに!その雰囲気が出てました。
俊平役の松永拓野さん、最高です。
監督の過去作にメインで出られているそうです。観てみたい!
(この作品で気になる存在になったと思ったら、たまたまこの後レビューする作品にも出ていらっしゃって、なんという巡り合わせ…!)

主人公の同僚の保育士さん役の方もよかった。
持田加奈子さん。
菊とギロチン…!観たけどどの役だったかな?(うろ覚え)

この作品のプロデューサーである志尾睦子さんは高崎映画祭の運営をされている方だそうです。物凄く納得!
(私、高崎映画祭の受賞作のラインナップが大好きなんです。ちなみに今年は片山友希ちゃんが茜色に焼かれるで入っています)

あと、カメラマンが根岸憲一さんという方で、深田晃司監督作品を多くご担当されているようです(パンフに対談が載っていてプロフィールがあったので気づきました。本文にもあったかな?)。この方がムードメーカーだったと書かれていました。キャストが若いと、頼れる方がいらっしゃると安心ですよね。

そういえば、片山友希ちゃんはドラマ平成物語で知ったのですが、そちらの役名も結(ユイ)だったっけ…?偶然かな!?
(違った!もう一人が結だった…←調べた。。彼女は紡だった)
本作もめちゃくちゃよかったです。初主演なんですね!
茜色に続き、彼女の時代が来たと思います…!
絶対これから来る女優さんです。

坂東龍汰くん、とても難しい役だったと思いますが、彼も凄くよかった。
似合ってました。
彼もちょこちょこ作品を観ているのですが(最初が十二人の死にたい子どもたちだったかな?あと閉鎖病棟、スパイの妻。ドラマは時をかけるバンドと夢中さきみにを観ています)、出ている作品にハズレなし、というか、役の引き方が巧いと思います。演技力があるからいい役を任されるのかな?他にも溜めている作品、観たくなりました。

ラストは賛否両論かもと思いますが、私はとても好きです。

ヒューマン
というより
機械
に思える人が居るかもしれない。

それでも私はこのラストでよかったと思う。

(個人的には産むより育てるほうが大変だと思うから。重きを置く所というか。年数を考えてもそう思う。これは立場によって意見が違うかもしれない)

人って何だろう…
考えさせられる。

感情があるから、人 なんじゃないかな。

観たいと思っていたけれど、そこまで強くでは無く。
たまたま時間が合ったので観れました。
ですが、本当に観てよかった。おすすめ。
D

Dの感想・評価

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2022年9本目
何歳までに子供が欲しいからとか、高収入だからとか打算的に結婚して一緒にいるより、本当に一緒にいたい二人が幸せになって欲しいなあ。この映画を見て抱く感想じゃないけど。でもなんでこの二人がこんなにも惹かれあってるのかが伝わらなかったのがちょっと残念だったなあ。LGBTの人で、本当に愛されることがないとか、家族や恋人がいなくて気楽だけど一人で寂しい人生だとか感じて生きている人もいることを正直考えたことがなかった。生物学的に男と女の二人が当たり前のように付き合って結婚して子供ができてっていうことが、誰かにとっては非常に難しく願っても叶えられないことであることを忘れてはいけない。見終わった後の新宿で、手を繋いで歩く二人や子供連れの家族を見てしみじみとしてしまった。
izumi

izumiの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

期待以上にとっても良くて、終わった後もずっともじんわりこの映画を思い返しながらふらふら散歩した笑

メインの2人はもちろんのこと、それぞれの友達が本当に良くて名脇役🥲

喫茶店のシーンは思わずちょっと泣いちゃった。全員の演技がすごくナチュラルで空気感が伝わってきて、(台本無かったらしい!凄!!)信頼感とか溢れる幸せな感じとか、沁みた。
いろんな巡り合わせで、縁で、いろんな幸せの形があるよね〜

唯一、年月の経ち方がだいぶ早くてそこだけびっくりみんなずっと若い笑
もうちょい長くても全然いいなぁと思うから各々の背景をもう少し見たかったな〜
観たあと呼吸ができなくなる。終盤の解釈は十人十色。ただどんな解釈もあり得るような作りになってると思う。そういう意味では不完全。それもフタリノセカイの象徴か。指輪は、、、。
自身がトランスジェンダーの監督の作品だそうです。事前情報ゼロで観たので鑑賞後に映画館の記事で知りました。

本作では僕が知ることができない「生まれながらの性に悩みを持つ人」の恋愛の形が描かれます。僕が知らない世界だからでしょう、共感し辛いです。ですが、知りたいと思ってます。知らない世界を生きる人達の心に少しでも触れられたら、、、なんて偉そうですが、そんな思いで映画を観る私です。

残念ながら僕の願いは十分には満たされなかったんですよね。結と真也の行動に根拠や心情が見えなくて。「結果としての行動」しか描かれないから、なんで?なんで?が続くのです。

「好きだから一緒にいたい」ってのはわかるんだけど、今の社会ではイレギュラーな関係は、越えなくてはならないハードルがたくさんあるのでは?って思うのです。特に自分の心のハードルに関して。にもかかわらず、そこはサラリと描き、一般的な恋愛物語になっちゃってるんですよね。そこについては悪くはないですよ。「僕が知らない世界も、知ってる世界も同じなんだよ」ってことを言いたいのかな?だったらそれをあえて映画として描く意味はあるのだろうか?

最も困惑したのは、なぜ子供に執着するのか?そこが、わからない。家族が欲しいから?子供が好きだから?相手が好きだから?なんなの?では実現のためにその方法を選択するのに「苦渋」ってなかったの?「よし!そうしよう!」ってすぐに決まったの?どうなんだろ?

フタリノセカイを選び、生きていこう、家族を如何なる方法でも作ろうと決めたのは、多くのハードルに立ち向かおうと思ったのは・・・・。
「一体なぜなんだ?」
そこを理解したいのですが情報が足りなすぎると思うのです、絶対的に。

真也と結の結びつきの強さの理由を描いてほしい。こーいうことやるから強いんだよ、、、って描き方は嫌いなんです。そういう伝え方が嫌いなんです。これができるほどの結びつきがあるんだよ、って表現ではなく報告ではないでしょうか?

根拠がわからず動悸も不明なのでラストシーンについても違和感しかないのです。ここにも「なぜ?」が。もしかしたら、僕の知らない世界だからしょうがないのかもしれません。でも、だからこそ理解を深めるためにも描いて欲しかったなぁと思うのです。根拠となるものを。

さらに俊平の描き方がひどい。そのための道具にしかみえないです、失礼な言い方するけど。「きっとこうなんだろうなぁ」と都合よく想像することはできるけど、その行動に至るプロセスの積み重ねにこそドラマとテーマの本質が存在していると思うのです。そこが見えないのです。本作は「描写の数」が多いわりに、「本質」が伝わってこない作品でした。「好き」に理屈は不要ですが、「生活を伴う共生」には理屈は必要。どーにもこうにも二人のママゴトにしか見えなかった。

この監督だからこそ描ける本質があるんじゃなかろうか?なんて思います
。それが見たかったです。

残念でした。
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