このレビューはネタバレを含みます
極力情報を入れずに見てほしい作品
片山慎三監督の作品は残酷でありながらとても力強さを感じる
どん底の状態からの生命力、しかもそれが一面的でない形で現れるのがまた面白い
社会的なテーマを扱いながら脚本構築と演出の上手さで重厚的な空気感を損なうことなくエンタメとして昇華しているところも素晴らしい
シンプルに面白そうと観客に興味を持続させるつくりになっている
三者三様の視点とここで終わりかと思うところからさらにもうひと展開あるストーテリングに目が離せない
ミステリー要素を引っ張り続けられる力にもう一つ映画的なリズム感が優れているのも素晴らしい
岬の兄妹でも感じたが掴みの抜群の上手さ、そこから視点の切り替え、映像トーンの変化で単純に画的に飽きさせない工夫も凝っていてここからも映画を見ている楽しさを感じさせてくれる
そこに加えて優れた役者のパーソナルな部分を程よく生かす役柄へのリアリティも確かなものになっている
映像、演出、ストーリーテリング、社会性、エンタメ性すべてハイグレードな日本が世界に勝負できる作品に仕上がった
片山慎三監督のこれからもさらに楽しみ
