冒頭の「走る」だけの単調なシーンから「あ、この映画面白いぞ」が溢れていて一気に引き込まれてしまいましたね…。
「監視カメラ」を手持ちで素早くパンして繋ぐカメラワークがまず最高。ここから既に「作家主義」の作品造りを感じる事が出来た。
予告編で想像していた物語を「1幕目」でサクッと消化し、物語は転調の「2幕目」に。
しかしここまでは予想の範囲内。
「成る程、そういう話ね」と悦に浸っていた鳩尾にぶち込む再度の転調「3幕目」でノックアウト…かと思えば、この「3幕目」がとにかく凄まじい。
「ここが物語の終着点かな」を何度も更新し続ける。
更新して、更新して、テーマを深掘りし、血生臭い物語を虚しい結末へと導いていく。
久方ぶりの「あぁ〜…タイトルの意味はそういう事なのか…」に大興奮。
「卓球」をメタファーとして効果的に用いるラストショットにはガッツポーズ。
「チェイサー」や「殺人の追憶」や「オールドボーイ」と言った数々の韓国映画を想起させる、笑いと暴力のバランス、転調し続ける展開。
とにかく素晴らしい役者陣の中でも、確かな演技で観客の涙を掻っ攫う佐藤二郎が見事としか言えない。
言葉もなく、その眼差しと息遣いだけで「死の恐怖」を演じてみせた、彼女も本当に素晴らしかった。
Blu-rayが出たら必ず買います。
