ろく

さがすのろくのレビュー・感想・評価

さがす(2022年製作の映画)
2.2
映画とは「画」で語るものなんじゃないか。

言葉で語りたかったらそれは小説を書けばいい。映画を撮る必要がないんだ。逆に言えば言葉で言えないものを「撮る」のが映画なんだ。

いやそれはコメディでもアクションでも、そして「文芸」でもそうなんだよ。そこにこそ映画の真実がある。

でここからネタバレです。


なんだ、この監督は観ている僕らを信じてないのか。なぜ最後、卓球のシーンだけで終わらせなかった?なぜ佐藤二郎に質問させた?なぜ伊東蒼はそれに答えてしまった?もうそれだけで僕は台無しではないかとがっくり来てしまったんだよ。

いやそこまでも緊張感があるとは言えない展開で正直、乗り切れなかったのも事実なの。ネタは実話系のネット連続殺人。ああ観ていてもあれねって思ったし殺人犯の子にも感情移入しずらい。いやサイコパスだとして感情移入できなくでもそこに畏怖感がない。

さらには佐藤二郎も何をしたいかわからない展開で僕には薄っぺらく思えてしまう。でもそこまではまだ許そう、そう思って見ていたんだ。

でもラストでのあの会話で僕はがっかりしてしまった。これは「映画」のふりをして予定調和を語りたいだけじゃないかと。「わかりやすい」感情を想起させるために「わかりやすい」会話をくるみ、そしていかにも「わかりました」と思わせる映画。そこまでお膳立てされてどうしろというんだ。

伊東だけは唯一、映画を見せていた。彼女の演技には救われた気がする。
ろく

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