プライ

フリークスアウトのプライのレビュー・感想・評価

フリークスアウト(2021年製作の映画)
4.0
第二次世界大戦下のイタリアにて、異能力を持ったサーカス団員たちがナチス・ドイツの陰謀と激突するSF映画。

サーカス団員たちが良い動き。まずは、能力が程よく地味で絶妙。電気少女。怪力男。虫使い。磁石人間。無双するほどパワーがないため、ここぞというタイミングとアイディアで刹那の輝きを見せ、活躍時の印象を残していく。とはいえ、磁石人間の応用力の狭さに不遇な面を感じるが…。次に、本作はイタリア映画だが、団員たちの掛け合いがハリウッド映画のチームモノのような詰り合いであり、聴いていて非常に小気味よい。最後に、他人にはない能力や外見を持つマイノリティの立場でイジられる場面もあるが、本人たち自身および製作サイドから可哀想な人たち扱いをしておらず、「この人たちはマイノリティだ!」とツッコミを入れることすら野暮なレベルで堂々としたキャラクターになっているのが好印象。時を経てマイノリティが解消されても時代に迎合できるキャラクターおよび作品になった。

サーカス団員の仲間となる、身体の一部を失った傭兵たちも良き存在。サーカス団員と同様に「この人たち、体の一部がない。可哀想」とツッコミを入れることが野暮レベルで堂々と生きている。

異能力者を集めることを企む敵のボスが悪役として魅力的。異能力者を見世物として捉えるレイシズム的な思想があり、サーカス団員たちが打倒する意義および現実世界の差別者の代わりに浄化される立ち位置になっている。

総論すると、見世物と見なされていた者たちが"見世物"に留まらず、"魅せ者"として輝く堂々とした作品である。


⭐評価
脚本・ストーリー:⭐⭐⭐⭐
演出・映像   :⭐⭐⭐⭐
登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐
設定・世界観  :⭐⭐⭐⭐
星の総数    :計16個
プライ

プライ