「クレイジー・ハート」などの女優マギー・ギレンホールが長編監督デビューを果たしたヒューマンドラマ。
エレナ・フェッランテの小説を基にギレンホール監督が自ら脚本を手がけ、
2021年・第78回ベネチア国際映画祭で最優秀脚本賞を受賞した。
出演は「女王陛下のお気に入り」のオリビア・コールマン、
「フィフティ・シェイズ」シリーズのダコタ・ジョンソン、「ジュディ 虹の彼方に」のジェシー・バックリー。
過去の自分を海辺の親子に重ねて、どんどん過去の記憶が蘇り心を壊していく女を演じた、
オリヴィア・コールマンの不気味な演技がホントによかったですね〜
テーマとしては子育ての大変さや、そこにある母親の自分、女の自分との葛藤。
そういったトコに見られる危うさというか、母親、しいては人間の心の脆さを、
様々なシーンを通して描いている。
実際に大きな展開はないっちゃないんだけど、
それぞれのシーンでザラつくというか、不穏な部分が毎回あるようなカンジ。
現実の出来事が事あるごとに過去の記憶とリンクして、
自分の過去の闇の罪深さや、取り返しのつかない事をしたという後悔に苛まされる。
最初は自由でよかったってセリフがあるんですけど、
よかったのはホント最初だけだったんでしょう。
でもその時は本当に全てを投げ出してしまいたいほどのストレスをカンジていた。
自分の心を守るために、それら全てに蓋をしていたのだけれど、
海辺の親子と出会う事に一気に溢れでる。。。
こういったながれの上手さや、各シーンの何気ない事や行動、
注意深くそういったトコをみると、この映画の完成度の高さが分かる。
それと現在と過去のシーンが唐突に切り替わったりするので、
そこはちゃんと認識して見ないと分かりづらい点もあるかもしれません。
全てを捨て去って生きてきた女が、最後に手にするものは何なのか?
それは果たして今の自分にとってどれだけ大きなものなのか?
ラストシーンにいたるまで、気の抜けない映画だと思います。