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パワー・オブ・ザ・ドッグのangelicaのレビュー・感想・評価

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)
4.4
今年はカンバーバッチのお尻よく観るなぁ(クーリエ以来3ヶ月ぶり2回目)
泥エステきたァァァ(DUNE敵ボス以来2か月ぶり2回目)
っておふざけは以上。

ギター、バンジョーetcの不穏なメロディが流れ続ける。サックス四重奏定番🎷グラーヴェとプレスト出だしみたいよ…好き
章ごとに変化する音楽にあおられ、荒漠とした空気に全く飽きない。
シーンごとにぐるぐる感情渦巻いて、最後まで見入った。題名の意味…!

原作の文庫解説が公開されてる。
https://kadobun.jp/reviews/entry-42082.html
作者が自身の生きた時代のことを書いたんだ。100年前も変わらない苦しみは勿論ある、それがまだ外へ出しにくいであろう50年前に出版されたのね

先に原作に出会うべきだったのか、映像で良かったのかどうかは分からない、
が、ぐだぐだぐだぐだ考えさせ続ける本作が凄まじいのは確か。
一方向に抑圧するちからを晒してみせる、今年はそういう作品たくさんあったね。
今頃?今だからこそ?なんにしろ、昔が良かったことなんて一つもない。倫理観は少しずつでも更新されてる。人間は良い方向へ進んでる。


不器用な弟夫妻、キルスティンダンストやられっぷり素晴らしかった。 リアル夫婦なのねぇ愛


私がカンバーバッチファンだったらこれが今年No.1だったな(基準がミーハーすぎるw)
あとなんとなくテリーギリアムのドンキホーテを連想した。見せかけの世界、どちらの立場で生きるのか、方向も全然違うんだけど。


以下はネタバレ感想
















兄、フィル。
弟とは絆がある設定らしいが私にはあまり感じ取れず、
なので、可愛い弟というより支配してきた弟を奪われ…というように見えた。
もちろん実際は弟自身の選択。子を支配したがる親とかもそんなんだよな…嫁いびり感もあるな
とにかくフィルはXX!(←伏せ字) ってメモに書きw心で罵倒し続けた。

が。


ぞわぞわとしたチェロで始まった第4章にて、秘密が明かされ、フィルの印象が変化する。
彼もまた、"ブロンコヘンリー"によって、偏った方向へ伸びた狭窄な世界に居るのだ…
フィルはピーターを取り込もうとするが、若者を見る目が変わっていく。賢さへの驚きと、通じあえたかもという嬉しさと。(新世代に打ちのめされる老害、みたいなのもちょっと感じた)
...と、ラスト直前まで場面場面でひたすらフィルに思いめぐらす………

が。

おい!!

そういう話かーーーー!!!!! あぁ伏線あったよあったよ!!

そして、ピーターが詩篇を読むんだ・・!!
題名の「犬の力」はフィルの、またそう追い込んだ世の中だけど、それだけじゃない、
ピーターも、イエスを処刑した側の気持ちにもなった?フィルだって時代の被害者だ、母のためとはいえ「犬の力」をふるった自分。
彼もまた秘密を抱えて生きていかねばならない。負の連鎖。つらみ。疲れたので急に軽い
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