atari

パワー・オブ・ザ・ドッグのatariのレビュー・感想・評価

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)
4.1
分かりやすい伏線の数々のおかげで序盤で展開とオチがある程度読めてしまったので、良くも悪くも、どのようにしてその結末に持っていくのかに集中して観ることができた。とは言え、一度観ただけで全てを理解する事は到底不可能だったし、そもそもこの作品を一度しか観ないのはとても勿体無いように感じたので、後日改めて隅々までじっくりと鑑賞する予定。
病的なまでに、ステレオタイプな"男らしさ"に執着するフィル。そんな彼を静かに、しかし鋭い眼差しで観察するピーター。ストーリーの肝となるこの二人の絡みは、美しくも、常にどこか不穏な空気を漂わせ、最後まで緊張感が途切れる事はない。オチの予想はできても、決して飽きが生じない作品だった。複雑な心境にあるフィルを演じたベネディクト・カンバーバッチの振り幅には脱帽。アカデミー賞にも多数ノミネートされている本作。授賞式当日がとても楽しみ。
atari

atari