あのことの耀のネタバレレビュー・内容・結末

ホラー映画よりもホラー、妊娠する女性の心理的負担や産む性別であることのグロテスクさを思い知った。

舞台は中絶が違法であった時代のフランス。主人公は、貧困階級から名門大学に進学した優秀で将来有望な女子大学生アンネ。学士の取得を目前に妊娠してしまった彼女が将来のため、大学を卒業し夢を叶えるため、妊娠・中絶の孤独や不安、恐怖と戦う姿を描いた作品。作中にはショッキングな映像がいくつかあるが、特に印象的だったのが違法行為によって中絶を試みるシーン。ここでは胎児の命を断つために拷問器具のような道具が登場し、その主観シーンとアンヌの悲鳴も相待ってあまりの生々しさに目を背けたくなる様な光景であった。

望まない妊娠にまつわる、現代の日本であっても十分に起こりうる悲劇を少しでも減らすために、全人類が(特に男性)大学や高校、少々ショッキングが過ぎるかもしれないが、中学の内にこの作品の鑑賞を義務付けたいと感じた。しばしば耳にする、世の中の夫婦が子供の出産後に険悪になる現象は男性側が女性の妊娠にあたっての心理的負担について十分に理解できず、必要なケアをできていない事が原因の１つなのかもしれない。暇だったからと軽い気持ちで鑑賞したが、全人類が向き合うべき女性の妊娠というテーマを考えるきっかけができたので、この機会に鑑賞できて本当に良かった。