しちれゆ

あのことのしちれゆのレビュー・感想・評価

あのこと(2021年製作の映画)
3.8
1960年代、妊娠中絶が違法だったフランス。妊娠したら一巻の終わり。そんな時代に大学生のアンヌは身ごもってしまう。やがてつわりが始まる。どうにかして流産しようとあれこれ試みるが若く健康な肉体はびくともしない。
妊娠を″主婦になるための病″と言うアンヌは自分の輝かしい未来のために闇堕胎をするのだが、輝かしいとは言っても目標はたかだか教師。もしかしたら将来子どもが出来ない身体になる可能性もあり、時代ゆえ若さゆえの選択とはいえ過酷ではある。
彼女が両親と3人で食卓を囲むシーン。この両親が本当に仲が良くて何か言っては2人で大笑いしている。それを微笑みながら見ているアンヌ。これから堕胎しようとしている彼女には2人が築いている家庭の幸福が眩しかったのでは。母親役を「あれ?サンドリーヌ・ボネール?」って途中から思い始めたらそうだった。少し前 地元では『冬の旅』がリバイバル上映されたばかり。
主演のアナマリア・ヴァルトロメイは『5月の花嫁学校』では良妻賢母になるために料理裁縫を学ぶ少女たちの1人を演じています。本作と併せて見るのも一興かと思う。
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