このレビューはネタバレを含みます
痛い!痛い…痛い……….。
以下、個人的考えを吐露します。センシティブな内容なので、ご注意ください。
妊娠について、私は基本的に「自己責任」と考えている。
でも、法律で中絶は犯罪などと決めることには明確に反対する。
レイプなどの犯罪に巻き込まれて妊娠してしまった被害者を守るためということもあるし、本作のような場合でも、やはり法律は「人を守るため」にあるべきだと思うので、中絶することを一律に犯罪とするというのはただ懲罰的な意味合いしかなく、必要だとは思えない。
本作でも分かる通り、中絶するにしてもその身体の持ち主は充分に"懲罰"を受ける羽目になる。身体の負担やリスクは勿論、妊娠が発覚したときからもしかしたらいつまでも、心の負担がのしかかると想像する。
アンヌは確かに、聡明なわりにリスクを考えずに行動してしまったかもしれない。それとも友達が言っていたように、リスクは分かっていたけれど踏み止まれなかったのかもしれない。そして一度そんな事態になったら、相手の男とのあらゆる面でのギャップは覚悟しなくてはならない。妊娠を引き起こしたときは紛れもなく50:50なのに、その後実際に"宿している"のは女だけなので、途端に100:0のようになる。だから自分のこととして考えず、フェードアウトしたり逃げる男がいる。勿論クズだし最低だけど、"共犯"だったはずの女はどうしたって逃げられず、選択や後処理を迫られる。
とはいえ人間もただの動物で、欲すべてを否定はできないだろう。1960年代には避妊のすべがなかったのかな。あったらこんなことにはなっていないか…。
「女性には選択権がないと考えている」
こんな言葉を平気で言う時代があったことが本当に恐ろしい。
あの"闇医者"であり"犯罪者"の女医は、彼女たちには紛れもなく救世主だっただろうな。