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コンペティションのSPNminacoのレビュー・感想・評価

コンペティション(2021年製作の映画)
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最高の監督と最高の主演俳優は最高の映画を作れるか。非常にミニマムなコメディで、ものすごく壁紙映画。モダン建築のダダッ広い空間に数人の登場人物を配置した構図がかなり独特だ(なるほど『ル・コルビュジエの家』の監督か)。そこで繰り広げられるチャラいスター俳優バンデラス、大御所俳優オスカル・マルティネス、天才肌の監督ペネロペによるパワーゲーム。主に撮影前のリハーサルなので、シュールな舞台劇のよう。
この映画のタイトルが競争、製作する映画は『ライバル』ということで主題がわかりやすい。大根役者バンデラスと名優マルティネスは、設定も展開も劇中映画の兄弟と同じで悲劇と喜劇が表裏一体。如何に観客を騙せるか?の「メソッド演技」を張り合う2人は、監督の要求以上に役と同化し究極のメソッド芝居に辿り着く。
その皮肉はともあれ、敢えて肝心の撮影現場とか排した映画作りはどうなんだろう。映画って役者と監督だけのものじゃないんだし、そのまま舞台劇でよかったのでは…。
スポンサーの老富豪は口出ししないし、俳優2人はそれなりに仕事に忠実だし(バンデラス、充分巧いし!)、無茶振りする監督にはビジョンがあるし演出も具体的なので、そう酷い現場に思えなかった。けど、劇中演技含めて3人が芸達者なおかげで飽きはしない。ペネロペの下手ダンスが可愛い。
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